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実録「ブスはあかん!」(画像)
実録「ブスはあかん!」(物語)
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 読者キャリーの解説

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ブスはあかん!スペシャル  第4話

第4話コメント@
  
  私が生まれたところは京都の北で、春になれば加茂川の堤防ぞいに桜並木が続く緑が多い綺麗な
  町やった。その加茂街道には桜並木に負けへんくらい立派で綺麗な家が建ち並んでいたなぁ。


  その豪邸と豪邸に挟まれた細い坂道を降りて行くと、古い小さな長屋が密集している町内があってな、
  陽の当たらへん地下室みたいな地域やったわ、そこで私は生まれて育ったんや。


  坂道を下っていく角のお屋敷は、下部さんっていう私の同級生の家で、手入れがゆき届いた中庭の垣
  根の向こうからは、いつも家族みんなで食事しながら楽しそうに笑う声や、ピアノの音が聞こえてきてた。
  私はその幸せな家族の様子を見るのが好きやってな、いつも立ち止まってしばらくその様子を見てから
  誰もいいひん暗い小さな家に帰ったんや。


  その坂道は、まるで人の人生の明暗を区切ってる境界線みたいやったなぁ。


  私の家はその坂を降りきって右に曲がった3軒目にあったんやけど、その長屋でも一番小さな
  家やった。家の前の道はもの凄く狭くて、人が2人すれ違うのがやっとやった。たぶん下部さんの
  お屋敷の廊下の方が広かったんと違うかな?


  ドアを開けたらセメントでできた流し台の横にプロパンのガスレンジが置いてあるだけの台所が
  あって、そこで履物脱いで部屋に上がるんや。3畳と4畳半2間で家族4人が暮らしててん。


  3畳の間には、すぐ左手に冷蔵庫と戸棚、正面に勉強机があって、奥の4畳半の部屋には洋服
  タンスとテレビ、カーテンで仕切った向こうに2段ベットがあって、そこでみんなが寝てたんや。
  天井に這ってる電線の上や台所は、いつもネズミが走り回ってて、トイレもお風呂もない悲しい家
  やった。銭湯に行くのは好きやったけど、公衆便所は汚いし、行くのが死ぬほど苦痛やったわ。
  今時トイレがない家って考えられるか?


  小学校の時に家の見取り図を書く宿題があってな、そんな家に住んでることがクラスの皆に知られ
  たらどないしょうって、真剣に悩んだわ。

  そやけど私の居場所はそこだけやった…


  でもな!坂を上がったら別世界やったで〜!綺麗な空や川、大文字山や比叡山がいつもそこにあ
  って、その景色が私の友達やった。あっ、ほんでな!川の向こう岸に外人さんが住んでるような洋
  館建ての家があってな、夕方になったらその家が夕陽に染まって、またそれがもの凄く綺麗やねん!
  まるで美術館にある絵画みたいやったわ〜。

  そこにいる時だけはホンマに幸せやった・・・・・

  保育所行ってる頃からその家を離れることになる19歳まで、家に帰ったらすぐ加茂川に行って、
  一人でその景色を日が暮れるまでずーっと見てるのが私の日課やったわ。

  加茂川のあの美しい景色が、どんな時もわたしを守ってくれてる気がしててん。



  あ、そや!私には兄が一人いるねん。
  私と兄は親無し子みたいなもんやったから、9歳も年が離れてたけど仲良かったで。兄はどんな時も
  私の事を一番大切にしてくれてた…



  <196?年冬、寄り添う心…・>

  「ゆみ〜!ゆみ〜!」
  「お兄ちゃ〜ん!私ここやで!」
  「お前何してるんや?もう真っ暗やのに、家にいいひんし心配したやろ?
  こんな時間までこんなとこで何してるんや?
  日が暮れるまでに家に帰らな子取りに連れていかれるっていつもお兄ちゃんが言うてるやろ!
  何で言うこと聞かへんにゃ!
  そうや、また家に飯なかったけど、お前今まで何も食べてへんのか?」



  「うん、お兄ちゃんは?」
  「お兄ちゃんはええ、クラブ活動の前にパン食べたしな」
  「お兄ちゃん、何で私らの家、いつもご飯ないん?何でなん?
  お父ちゃんもお母ちゃんもどこにいるん?」
  「ちょっと、待っとけよ!お兄ちゃんすぐ戻ってくるから、ここ動くなよ!寒ないか?」
  「うん、寒いことなんかない、お兄ちゃんどこ行くん?寒いことないし、お兄ちゃんどこにも行かんといて」
  「すぐ戻ってくるし、絶対ここから動くなよ、ええな!」


  兄は自分の首に巻いていたマフラーを私の首に巻いたと思ったら、もの凄いスピードで走って行ってしも
  てな、戻って来たんはそれから1時間以上もあとやったわ。その間私は兄がこのままどこかに消えてしも
  て、二度と戻って来いひんような気がして、もの凄く不安やったわ。

  「ハァ、ハァ、ハァ…遅なってしもてごめんな。腹減ったやろ、はよこれ食え」

  「お兄ちゃんこれ何?ええ臭いしてるな〜、いや〜コロッケや〜!1つ、2つ、3…・・
  お兄ちゃんコロッケ10個もあるで!凄いな!コロッケ10個って凄いな!そやけど、お兄ちゃんお金どーし
  たん?お金ないくせにどーしたん?」

  「そんなことお前は気にしんでもええ、それより、早よ食え!」

  「お金、どーしたん?」

  「もーうるさいなお前!、心配しんでもお兄ちゃん悪いことしてへん!お兄ちゃんのスケート靴あった
  やろ?あれな、今友達に売ってきて、そのお金でコロッケ買うてきたんや、そやから心配しんと早よ
  食え!」



  「お兄ちゃん、スケート靴無くなってもええの?私お腹空いててもええねんよ。」
  「何言うてんにゃ!お前はいらんこと考えんでもええ!まだ子供のくせにアホやな、お兄ちゃんあの靴
  もう嫌になってたからちょうど良かったんや、そんなことよりコロッケはよ食え!」



  「うん!ありがとうお兄ちゃん、美味しいな!このコロッケ、美味しいな!
  なぁお兄ちゃん、これ枡形通りの寺町に近いとこにあるお肉屋さんのコロッケやろ?双子の男前のお兄
  ちゃんがいるお肉屋さんのコロッケやろ?臭いで分かるねん、私な、あのお兄ちゃん好きやねん、優しそ
  うやろ?コロッケも市場の中のお肉屋さんよりええ臭いやし、いっぺん食べてみたかったんや!美味しい
  な!
  美味しいなお兄ちゃん、お兄ちゃん何で食べへんの?お兄ちゃんも一緒に食べよ。」

  「お兄ちゃんは後でええ、あんまりお腹空いてないからな、お前が腹いっぱい食べて、残ったら食べる。」


  あの時食べたコロッケ、ホンマに美味しかったな〜
  ソンセン(先生)聞いてる?妹思いの兄やろ?
  ほんまにあの時のコロッケの味は今でも忘れられへん。

  コロッケを見る度にいつも優しかった兄のこと思い出して今でも心がじわ〜っと温っか〜くなるわ。

  私が保育所行ってて、兄が中学生やった頃の話や。



  なぁソンセン、私思うねん、人が自分の心に何か足りなくて悲しいとき、それは愛情を求めてる感情と
  ちがうか?


  誰かの愛情、誰かの暖かさが身体に染みこんだ時、その心が満たされて、それで初めて他者に対して
  愛情や思いやりの気持ちが湧いてくるんと違うかな?


  自分の思いを分かってくれて、無償の愛情を注いでくれる人がこの世でたった一人でもいるって信じる
  ことが出来たときから、自分の中に色んな事を乗り越えられる大きな力が湧いてきて、最悪の環境の
  中でも人は真っ直ぐ、強く生きていけるようになるんやで。


  たとえ家族が居なくても、家族に愛がなくても、誰でもええ、自分がどんな時も変わらずに傍で正しい形
  の愛情を注いでくれる人が人間には必要なんや。


  その愛情を信じて生きられたら、自分も人も、傷つけたり殺めたり出来ひんもんやで。

  一回もぐれんと真っ直ぐ生きて来たこの私が証拠や。


  私は自分の経験からそう確信してるねん。


  そやから私は自分を必要としてくれる人々に、正しい形の愛情をいっぱい注げる人になりたいねん。



  あっ、ごめんごめん、話逸れてしもた、いつまでも自分の考えばっかり喋ってたらあかんわ、話元に
  戻そ…



  でもこの時はまだ兄が傍に居てくれたから幸せやったんやけど、この後、兄と別れなあかんことになっ
  てな、
  その頃から私の孤独で悲しい毎日が始まったんや……・

                  つづく

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